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日本語
2020.05.15

第8回「モンスターデザイン」について(前編)

皆様こんにちは。「ブリガンダイン ルーナジア戦記」プロデューサーの五十嵐です。
今回は、本作に登場するモンスターや、そのデザインコンセプトをテーマにしたいと思います。


本作においてモンスターは非常に重要な存在であり、部隊戦を繰り広げる戦場の主役でもあります。
そして、それぞれの個性を持つ50種以上のモンスターは、強いか弱いかという一つの尺度で計ることができません。
時にはプレイヤーの部隊構成の方針や戦術を体現する存在として、
時にはプレイヤーが名付け親となり、愛着ある特別な存在として大陸統一までの道をあなたと共にします。
ルーナジアの世界には、どのようなモンスターが召喚されるのか? ぜひ配信中の体験版でご覧ください。
また、先日公開された電撃オンラインさんのブリガンダイン連載記事第4回「ユニット紹介(後編)/モンスター」でも
色々な情報をご紹介頂いていますので、ぜひこちらの記事もご覧ください。


さて、このゲームをプレイする人に「どのモンスターを重用しているか?」と尋ねると、実に様々、人それぞれのプレイスタイルがあります。
今回は、このようなモンスター達がゲーム開発の過程でどのように生み出されてきたのか?
本作でモンスターデザイン・モンスターイラストを担当したアートディレクター田村仁さんからのメッセージをお届けします。


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はじめまして。田村と申します。
プロデューサーレターの場を借りて、皆さまにメッセージをお送りできる機会をいただきました。
今回は本作のモンスターデザインに込めた意図や工夫などを、イラストと共にお伝えできればと思います。


■モンスターデザインの方針について
モンスター群のデザインコンセプトの一つは、古典的なRPGが好きな人の想起する”モンスター大戦”といったバラエティ感です。
ドラゴンやワイバーンなど知名度の高いモンスターにおいては「皆さんのイメージの最大公約数」という視点を欠かすことができません。
その中でブリガンダインらしいキャラクター造形を目指していきました。



・ドラゴン
ディフォルメ感やボリューム感など、開発の叩き台になったモンスターです。
強く、賢く、威厳のある王者のイメージを込めました。
ドラゴンだけで勝てるゲームではありませんが、部隊にいるとやっぱり頼りたくなる存在感があります。



・ワイバーン
ドラゴンのような絶対的な権威がない分、動物的な要素を入れやすく、鳥類と爬虫類の中間的な顔立ちを意識して描きました。
ちょっと意外かもしれませんが、彼らの武器はくちばしでも爪でもなく、強力な「尻尾」なのです。
鞭のように鋭く敵を切り裂いていく尻尾の動きにご注目ください!



・サイクロプス
粗にして野だが卑にあらず。仲良くなればこれほど頼もしい友達はいないでしょう。
(ただし、食料は切らさないようにしたいですね…)
象の頭蓋骨を初めて見た人の気持ちになって描きました。


また、イラスト段階ではディティールのしっかりしたものでありながら
3Dモデルとなって戦場マップで遠目から見たときに「形や配色がシンプルであること」も大変重要です。
スイッチの画面サイズは大体14*8cm、本作の出撃ユニットは敵味方合わせて最大42体です。
これだけの数のユニットが、バトルマップで3Dモデルになって戦います。
ゲームの性質上、1か所の戦線にユニットが集中し、一画面の中に異なる見た目のユニットが30体以上表示されることもしばしば。
こういう3Dゲームはありそうでそんなに多くありません。
そのため、デザイン制作の出発地点から一貫して注意したのは
「プレイヤーの手元で1cm四方のサイズのユニットが密集しても、きちんと種類を判別できるような見た目」でした。
モンスターが有する記号的な部分こそが、初期デザインにおいて大変重要な要素だったのです。



・頭は大きく、顔は小さく
戦場におけるユニットの視認性を重視する場合、頭部を大きくする所謂「SD」表現が有効なのは確かだと思います。
その一方でブリガンダインの作品性を考えたときに、頭身の高い(頭部の小さい)カッコいい佇まいも追及したいと考えました。
とはいえ、遠目から見た際にどうしてもSD的なシルエットが欲しくなる場合もあります。
やや変則的ですが、ドラゴンやサイクロプスなど一部のモンスターでは大きなツノを頭から生やしていません。
これは、首の頂点にツノをずらしてやることで「遠目から見たときの頭部」を「実際の頭」より大きく見せるための工夫でした。


今回も読んで頂きましてありがとうございました。
次回は「モンスターデザイン」について(後編)をお届けしたいと思います。